なぜ私は「相続」ではなく「贈与・運用」を選ぶのか?息子に伝えるお金の重みと複利の力

育児

「いつか」渡すお金に、どれほどの価値があるのか?

「子供の将来のために、コツコツ貯金をしなきゃ」 親になれば、誰もが一度はそう思うはずだ。学資保険に入ったり、児童手当を貯金したり。でも、そのお金、「いつ、どんな形」で渡すのが一番子供のためになるのか、真剣に考えたことはあるだろうか?

「自分が死んだときに、残った財産を相続させればいい」 そう考えるのが一般的かもしれない。しかし、少し立ち止まって想像してみてほしい。私が90歳過ぎで人生を終えるとき、息子はもう60歳。人生の後半戦に入り、定年を意識する年齢だ。その時に手渡す資産は、おそらく「年金の足し」にはなっても、彼の人生を劇的に変える「情熱の種」にはならないだろう。

だから私は、決めた。 息子が一番エネルギーに溢れ、人生の選択肢を広げるために最もお金を必要とする「18歳」という瞬間に、1,000万円という「翼」を託すと。

『DIE WITH ZERO』が教えてくれた、お金の「賞味期限」

私がこの決断をした背景には、ビル・パーキンス氏の著書『DIE WITH ZERO』の哲学がある。この本は、「死ぬ時に資産をゼロにする」ことの重要性だけでなく、「お金を価値あるもの(経験)に交換できる能力は、年齢とともに減退する」という残酷な真実を教えてくれた。

どんなに大金を持っていても、80歳でエベレストには登れない。同じように、60歳の息子に1,000万円を渡しても、20代の頃のような「無茶な挑戦」や「感性を揺さぶる旅」に使うことは難しいのだ。

「人生で一番お金の価値を最大化できるタイミングで、お金を渡す」 親が死んでから贈与税を払って相続させるのは、数学的に見ても、人生の満足度で見ても、期待値が低い。だからこそ、私は「生きているうちに、最も価値が出るタイミングで」贈与することを選んだ。

数学的に導き出した「18年・1,000万円」の計画

数学科出身の私は、感情だけでなくデータでこの計画を立てた。 現在、毎月3万円を年利5.0%想定で積み立てている。18年後の着地予想は、約1,047万円だ。

ここで重要なのが、日本の税制と贈与の考え方だ。

  • 暦年贈与の活用: 年間110万円までの贈与なら、税金は一円もかからない。月3万円(年間36万円)なら、将来の重い贈与税を回避し、全額を息子の資産にできる。
  • 暴落リスクへの視点: 18歳の時に暴落が来るリスクはある。仮に30%下落して700万円になったとしても、それは貯金だけでは到達できなかった金額だ。さらに彼には「回復を待つ数十年」という時間が残されている。その不確実性すらも、生きた教材になると考えている。

出典:楽天証券 積立かんたんシミュレーション

「学費は自分で払え」――突き放すのではなく、信じること

この計画について、妻ともじっくり話し合った。 彼女は「18歳で1,000万円もらえるなんて、素敵なプレゼントだね」と賛同し、私の「学費も自分で払わせる」という方針にも合意してくれた。

息子には、18歳でこの口座を全権委譲する。そしてこう伝える。 「ここにある1,000万円で、大学の授業料も、自分のやりたいことも、すべて自分でやりくりしなさい」

親が裏で学費を払い、子供は「いくらかかっているか知らない」という状態にはしたくないのだ。

  • 自分の受ける講義に、一回いくらの価値があるのか?
  • 資産を切り崩しながら生活する(出口戦略)とはどういうことか?
  • 投資家として、資本をどう守るべきか?

外資系企業でマネージャーとして多くの人を採用・評価してきた経験からも、この「当事者意識」こそが、将来のキャリアを切り拓く最強の武器になると確信している。

18年間にわたる「投資家教育」のステップ

いきなり1,000万円を渡すのは、さすがに無茶だ。だからこそ、18年かけて「親子プロジェクト」として教育を並行する。

  • 【幼少期】: 「1.1を30回かける(30乗する)と、どれくらい膨らむと思う?」といった遊びを通じて、複利の凄さを体感してもらう。
  • 【中学生】: 実際の証券口座を一緒に眺める。「パパが君のためにこれだけ積み立てていて、確実に増えているよ」と見せることで、投資を日常にする。
  • 【高校生】: 株とは何か、投資信託とは何か、なぜ父はこの道を選んだのか。私の投資哲学をすべて伝承し、卒業のタイミングでバトンを渡す。

もし彼が18歳で「大学には行かず、この資金で起業したい」と言い出しても、私は止めない。大学卒業の資格が持つ市場価値は伝えるが、最後は彼が判断すればいい。この1,000万円は「学費」の名目ではなく、彼の「人生の選択肢」そのものだからだ。

私自身のFIRE計画とのバランス:なぜ「両立」が最強の戦略なのか

「息子の分を貯めて、自分のFIREは大丈夫か?」と思われるかもしれない。しかし、これは私の自由を加速させるための防衛策でもある。

  • 移住への心理的ハードルを排除: 40歳で資産5,000万円を達成し島へ移住する際、最大の不確定要素である「教育費」が解決済みであることは、大きな安心材料になる。
  • 感情を排除した自動化: 息子の3万円は「基本給」から淡々と出し、RSU(譲渡制限付株式ユニット)には触れない。一喜一憂せず、仕組みで勝つ。これがマネージャーとしての私のスタイルだ。
  • 資産の完全分離: 息子の口座は、自分の総資産から除外して管理している。自分名義の5,000万円は自分の責任で達成し、息子の分は「聖域」として守る。この分離が、自分への適度なプレッシャーとなる。
  • 背中で語る教育: 「お金のために必死に働く親」ではなく「お金を味方につけて自由に生きる親」の姿を見せたい。「頑張れば報われる」という精神論ではなく、資本主義の原理を知り、自由を掴み取る姿をバトンにしたい。

目標未達のリスクがあっても、息子の3万円は死守する。その時は自分の稼ぎを増やすだけ。複利という「固定変数」は、絶対に動かさない。

最後に:あなたなら、いつ「翼」を渡すのか?

「学生は時間はあるが、お金がない」 そんな世の中の常識を、私は息子と一緒に壊しにいきたい。

18歳で手にする「1,000万円」と、それまで18年かけて父から学ぶ「投資の哲学」。 この二つが揃った時、彼は本当の意味での「計画的自由」を手に入れるはずだ。

さて、みなさんはどう考えるのか? あなたが死んだ後に渡す「遺産」と、彼らが夢を追う瞬間に渡す「軍資金」。 子供の人生をより輝かせるのは、果たしてどちらだ?

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